ぎっくり腰とは?ぎっくり腰の主な症状と対処法
ぎっくり腰
ぎっくり腰はこんな症状
ぎっくり腰と聞くとどんな状況を連想されますか?
たぶん、あまりの激痛に寝床から起き上がれなくなるほどの腰痛を連想されると思います。
その連想は極端な例としては合っていますが、それだけがぎっくり腰ではありません。
ぎっくり腰とは「急性腰痛」の通称であり、何かの拍子に急に腰が痛くなる症状を指します。
つまり、痛みは感じるが起き上がって歩くことができてもぎっくり腰というわけです。
ぎっくり腰になるきっかけはとても些細なものが多く、靴を履こうと屈んだ時やくしゃみをした時、起床時などに身体を捻ったりすることで痛めてしまいます。
では、どんな痛みなのか?
痛みの感じ方は様々で人によって表現の仕方も異なりますが、何もしなくても腰に何かが刺さっているようにズキズキ痛んだり、立ちあがろうとすると腰が抜けそうな感覚を覚えたりするなど多岐に渡ります。
しかし、臀部や足にしびれを感じる場合などは腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが考えられます。
他にも腰椎圧迫骨折などのぎっくり腰ではない症状との区別が難しいため、「腰が痛くなったら寝ていれば治る」と楽観せず、接骨院や整骨院で検査を受けましょう。
ぎっくり腰の原因
基本的には腰を曲げたり捻ったり伸ばしたりしてお腰にかかる負担が限界を超えた時に起こります。
朝起きた時には痛くなっている場合もありますが、それは就寝中の寝返り動作によって引き起こされたものであると考えられます。
では、前章で述べた「些細なことがきっかけ」で限界を超えてしまうのはなぜなのでしょう?
それは、筋肉の弱化やストレスなどの心理的要因、柔軟性の喪失などのさまざまな理由によって筋肉の緊張が強くなってしまうためです。
筋肉の緊張が強くなるということはそれだけ伸び縮みが難しくなっていきます。
筋肉をゴムバンドに例えると、ゴムバンドを引っ張って伸ばした状態が何日間も続くと、さらに伸ばそうとしなくてもある時プチっとゴムバンドは切れてしまいます。
つまり、何日も、長いと何ヶ月も前からゆっくりと進行して、ついにぎっくり腰になるということです。
そのため、ぎっくり腰になる方の大半が「何もしていないのに」と嘆きます。
しかし、その言葉の裏に「身体に良いことも何もしていない」という事実が隠れています。
言い換えると、「運動不足」です。
運動が不足しているから筋肉が弱くなり、運動によるストレス発散効果を享受できず、血行も悪くなり柔軟性が低下してしまうのです。
ぎっくり腰になってしまったときの対処法と注意点
ぎっくり腰になったらまずやることは、痛みが出る直前にしていた行動を中止することです。
痛いけれどあと少しで終わるからと痩せ我慢をして続けると、損傷が酷くなり痛みが悪化することがあります。
即刻中止してください。
そして、どこまで動けるのか確認してください。
立ち上がることはできるか?
歩くことはできるか?
座ることはできるか?
一通りの動きを確認して、痛みが酷くなる動きは極力避けるようにします。
その動作に必要な筋肉や関節が損傷している可能性が高いためです。
何をしても痛くて動けない場合は、横向きに寝て膝を折り畳み丸くなるように寝ましょう。
続いて、炎症が起こり痛みが激化してくるため、炎症抑制のために患部を冷やします。
氷嚢があれば最適ですが、保冷剤をタオルで包んで患部に当てるなどをしても大丈夫です。
1回あたり10〜15分程度冷やしたら凍傷予防のために冷却を中止し、十分に時間を空けて再度冷却を繰り返していきましょう。
痛みを紛らわせるためにお酒を飲んだり、患部を温めるために湯船に浸かるなどの行動は炎症を促進してしまうので避けてください。
ご自身で痛いところをもみほぐしたりしようとせず、ひたすら冷やして速やかに接骨院へ向かいましょう。
ぎっくり腰の施術方法と治療期間の目安
当院ではぎっくり腰へのアプローチを3段階で行っていきます。
① 初期対応ステージ
まずは、ケガやお身体の状況を判断しやすくするために、腰を痛めた状況や生活習慣、既往歴などをヒアリングします。
ヒアリング内容を参考にしながら理学的検査を行い、痛めた部位や範囲を特定していきます。
損傷部位の判断ができたら、アイシングや特殊電気療法、筋膜リリースなどで痛みを抑制しながら回復を促進します。
② 根本原因の除去ステージ
痛みや炎症が落ち着いたら、今度はインナーマッスル強度の検査や姿勢検査などを実施してぎっくり腰になった根本の原因を探り、その原因に対するアプローチ(EMS、姿勢矯正、血流改善、自律神経ケア)などに取り組んでいきます。
③ 再発防止ステージ
一度ぎっくり腰になったということは、日常的に腰へストレスを掛ける問題が発生している可能性が高く、再びぎっくり腰になる方が多くなっています。
生活習慣を見直し腰へストレスを掛ける体質を改善することで再発を予防して健康的な身体づくりをサポートします。
以上3つのステージを痛めてから①は1ヶ月程度、②は3ヶ月程度、③は6ヶ月程度の期間で実施していきます。
もちろん、どのステージまで取り組むのかは相談をして決めていきましょう。
ぎっくり腰にならないためにはこれが大切
もう耳にタコができるほど聞いてきたかもしれませんが、ぎっくり腰にならないためには「運動」をすることが肝心です。
運動をしないということは筋肉がどんどん弱化します。
つまり身体を支える力や動かす力が衰退していきます。
しかし、体重は落ちましたか?落ちていませんね?
身体の重さが変わらないのに支える力や動かす力は小さくなるということは、身体を動かしたり、またはじっと立っているだけでも筋肉が悲鳴を上げ始まるということです。
だから「ぎっくり腰はクセになる」と言われるのでしょう。
ただし、一度ケガをしたところが再度ケガしやすくなるという解釈は正しくなく、筋肉が常に限界ギリギリで引っ張られているからケガをしやすいという意味です。
だから運動をして筋肉を健やかに保つことはとても大切なのです。
そして運動にはいくつか種類がありますが、筋力を向上する筋力トレーニング。
全身の血行を促進する有酸素運動。
筋・関節の柔軟性を上げるストレッチは特に重要となります。
3つの運動をバランスよく実施していきましょう。
特に体幹や股関節周りの筋肉を強化し、柔軟性を向上することで腰部の安定性が向上して腰部への負荷が軽減することがわかっています。
ぎっくり腰に関するQ&A
Q.ぎっくり腰は何日くらいで治りますか?
A.治るという定義によって変わりますが、痛みなく日常生活を送れるようになるまで最短で1週間以内、最大で1ヶ月ほどかかります。
ただし、ケガをした組織が正常な組織に回復するまでは1ヶ月半ほどかかるため、痛みが無くなったからと通院を中止したり無理をしたりするとぎっくり腰の再発を招きますので注意しましょう。
Q.ぎっくり腰とヘルニアの違いは何ですか?
A.ぎっくり腰は関節や筋肉・筋膜などの軟部組織が損傷することで起こる腰痛ですが、
ヘルニアは椎間板が変性して本来の位置からはみ出した結果、神経を圧迫することで臀部痛や下半身の痺れなどを引き起こす病変です。
似て非なるものですが、ぎっくり腰を繰り返すことでヘルニアへと進行することが多いです。
Q.ぎっくり腰になった場合、温めるのと冷やすのはどちらがよいですか?
A.ぎっくり腰になったらな腰部に炎症が引き起こされます。炎症は大体72時間程度継続するため、その間は断続的にアイシングを施し炎症を抑制しましょう。
炎症が落ち着き、腰部の痛みが鋭いものから鈍いものへと変化してきたら、今度は血行を促進して腰部に回復のための栄養を送り込むために温めましょう。
Q.ぎっくり腰は安静に寝ていればどれくらいで動けるようになりますか?
A.ぎっくり腰は寝て治すという考えは誤りです。立ち上がることができるのであれば、痛みの出る動作を避けるように気をつけてできる範囲で日常生活を普段通り過ごしましょう。
また、安静とは動かないということではなく、患部にストレスを掛けないように気をつけるという意味です。
寝込んでしまうと全身の筋力が弱化し、さぎっくり腰の再発や別の箇所の負傷を誘発するため、最低限にとどめましょう。
Q.ぎっくり腰は何日目からお風呂につかっても大丈夫ですか?
A.炎症が終了すれば湯船に浸かることはむしろ推奨されます。
3日か〜5日ほどでうt湯船に浸かっても痛みが悪化しない状態になりますが、判別が難しいためわからない場合は接骨院にみてもらいましょう。
Q.ぎっくり腰を繰り返さないためにはどうすればよいですか?
A.運動をしましょう。筋トレと有酸素運動とストレッチをして、強くてしなやかな身体を作り上げましょう。
すると、成人病予防にもなり健康寿命も上がるなど良いことしか起こりません。
Q.運動不足ですとぎっくり腰になりやすいのでしょうか?
A.とてもなりやすいです。
お仕事がデスクワークの方は輪をかけてなりやすいので、運動する習慣を身につけましょう。
Q.ぎっくり腰になったときはアルコールはいつまで控えた方がよいのでしょうか?
A.アルコールは炎症を促進し、その分解のために怪我の回復に必要な水分を奪い血行を阻害します。
ぎっくり腰を早期に治したいのであれば、1ヶ月は禁酒しましょう。
ビールは水ではありません!
なお、腰や肩などに慢性的に痛みを抱えている方も飲酒の頻度を制限すると痛みが緩和されることが分かっています。